Yuhao Wangさんが第46期日中笹川医学奨学金の対象者に選ばれ、その認定式に出席しました(ポスドクは全国で7名)。その時の挨拶です。
Yuhao Wangさん、そして皆様
本日はおめでとうございます。あなたにとってこの2年間はとても貴重です。是非有意義な時間を過ごしてください。
私の研究室では複雑な構造を持つヒト腎臓を試験管内で作れるようになってきました。しかしまだ尿を流せていません。そこで、Yuhao Wang さんには、尿管を作り、それと腎臓を繋ぎ、さらに移植してホストの膀胱と繋いで、尿が流れる機能的な腎臓を作ってもらいたいと思っています。もちろんこれは挑戦的なプロジェクトであり、簡単にできることではありません。それに向けて一歩ずつ着実に進めば良いです。私と一緒に試行錯誤しましょう。
この2年間に限らず人生において、焦ったり迷ったりすることもあるでしょう。その時は私たちは患者さんのため、あるいは人類のためにサイエンスをやっていることを思い出してください。迷ったときは、サイエンスのためにベストなことは何かで判断してください。サイエンスを自分の出世や生き残るために決して使わないでいただきたい。サイエンスより自分のことを優先していないか、よく考えてください。
最後にもう一つ。ちょうど9年前の今日、熊本地震の本震が起き、私たちの研究所は大きな被害を受けました。今頃の時間(16:00)は立ち入り禁止にした建物に所長として一人残って、対策を必死に考えながら多くの指示のメールを出していました。その時に実感したのは、刻一刻変わっていく状況を研究所全員に伝えるのが難しかったことです。さらに情報のほとんどが日本語で、留学生に届くのに時間がかかりました。そこで私たちの研究所では、すべての所員(教員、ポスドク、技術職員、事務職員, 学生まで全員)がすべての所員にメールできる体制を作っており、かつ日本語と英語を併用するようにしています。日本では地震が頻繁に起きますので、皆さんのところでもそうされるのをお勧めします。
それでは改めて採択おめでとうございます。充実した研究生活をお送りください。
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