転出セミナーのURL https://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp/seminar555/
腎臓発生研究の秘訣
熊本大学発生医学研究所 腎臓発生分野教授の西中村です。 腎臓発生再生研究に必要な心構え、方法、知識源など、思いついたときにUPしていきたいと思います。
2026年4月1日水曜日
谷川俊祐さん 祝 教授栄転 2026.4.1
2026年3月30日月曜日
桜峰小学校 閉校 2026.3.31
私が通った鹿児島県・桜島の桜峰小学校が2026.3.31で閉校します。私が住んでいた頃の桜島は農業も観光も栄えており、西桜島村が桜島町になった1973年には全島挙げてお祝いしました。ほぼ毎日噴火する火山の麓で駆け回って遊んだ、私の故郷です。桜峰小学校も当時は360名と大勢いたのですが、過疎化が進み、ついに桜島全島の小中学校が閉校して、一つに合併されます(桜島学校)。寂しい限りです。
去る2.14に閉校記念式典が開催されたので、急遽思い立って参加してきました。私が児童会長として卒業記念に植えたクロガネモチが5mを越す大木になっていました。卒業以来50年ぶりに校舎に入って懐かしい教室を見た後、式典で皆さんと一緒に校歌を歌いました。「雲に聳ゆる桜島、高きを己が心とし、、」。閉校してもそのスピリットと思い出は一生心に残り続けます。
思えば、ここが私の原点でした。あの時から長い時間をかけて、医者になり、研究者になり、腎臓を作り、とここまできました。自分はここから始まった、我ながらよく頑張った、でももっとやるぞ、と思いを新たにしました。
さらば桜峰小学校!
2025年4月17日木曜日
日中笹川医学奨学金認定式 挨拶 2025.4.16
Yuhao Wangさんが第46期日中笹川医学奨学金の対象者に選ばれ、その認定式に出席しました(ポスドクは全国で7名)。その時の挨拶です。
熊本地震から9年 2025.4.14
発生研全員に送ったメールです。
皆様
2024年9月8日日曜日
浅島誠先生 傘寿の祝賀会 2024.9.7
浅島誠先生の傘寿の祝賀会が東大駒場で開催されました。久しぶりに浅島先生や懐かしい面々と会えて楽しい時間を過ごしました。その会での祝辞です。
2022年7月27日水曜日
桜島の噴火
今回のニュース(噴火による避難指示:レベル5)は思わず長いこと見てました。
桜島は私の故郷で、小学校卒業まで住んでいました。今回避難対象になっている南東部とは反対側です。桜島の北西側は観光やフェリー、農産物(みかんや桜島大根など)で収益を上げている豊かな村でした(溶岩が多い南東側は1950年に鹿児島市に編入されていたが、こちらは独立を保っていた)。夏休みは毎日、家から5分の海で泳いでいたし、ハネムーン客も大勢泳ぎに来ていました。好調な財政を反映してか、小中学校の校舎も立派でした。私が10才の時に西桜島村から桜島町に昇格、町中でお祝いしました(新しいフェリーも就航)。
噴火はほぼ毎日で慣れっこでしたが、農産物が全滅して村内運動会が中止になったことも。大正3年の大噴火の記念日 (1月12日) には全島脱出を想定した避難訓練が毎年ありました。当時は大噴火の経験者が存命で、噴火しないという測候所の予測を信じて避難しなかった人が犠牲になったという話を聞いた記憶があります。
桜島町は2004年ついに鹿児島市に編入。私が通った当時360名いた小学校も今では20名ほどの複式学級だそうです。でも頑張っている様子がHPから伝わってきて、心の中で応援しています。
2022年3月2日水曜日
私の苦労話 Part 4: 完全にES細胞由来の腎臓高次構造を構築 (2022.2.1)
2022.2.1にNat Communに論文を発表し、その裏話を発生研HPに掲載しました。
http://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp/bunya_top/kidney_development/#1
遅くなりましたが、その転載です。
西中村教授の苦労話 Part 4: 完全にES細胞由来の腎臓高次構造を構築 (2022.2.1)
2022年2月1日 Nature Communications誌に論文を発表しました。腎臓はネフロン前駆細胞、尿管芽、間質前駆細胞という3つの前駆細胞から形成されます。私たちは2014年にネフロン前駆細胞の、2017年に尿管芽の誘導法を報告してきました が、今回は最後のピースである間質前駆細胞を誘導したという論文です。2017年の論文では、間質前駆細胞が誘導できていなかったのでマウス胎仔由来の間質前駆細胞で代用していました。今回は、それをマウスES細胞から誘導する方法を開発し、同じくES細胞から誘導した残り二つの前駆細胞(ネフロン前駆細胞及び尿管芽)と組み合わせることで、ES細胞のみから、多数に分岐した尿管芽の周囲にネフロンが配置された腎臓本来の高次構造を再構築したものです。これほど複雑な臓器の構造が試験管内で作れるということは、理論的にはヒトでも同様の構造が作れることになります。
このプロジェクトは2017年に、田中さんが大学院に入学した頃に始動しました。尿管芽の誘導法を開発して論文にまとめつつあった太口さんによる猛特訓が始まりました。発生初期のマウスを解剖してFACSし、それを培養して間質前駆細胞に誘導できているかを確認するという初心者には極めてハードルの高い実験です。しかも太口さんは数ヶ月後に留学するということで、それまでの独り立ちを目指しての短期集中特訓となりました。田中さんはこれによく耐えて成長し、その後も毎回10匹近いマウスを交配して実験を繰り返し、マウス胎仔からの誘導条件を決めてくれました。
この際に重要な役割を果たしたのが、間質前駆細胞やその起源である後方中間中胚葉での遺伝子発現です。これが当時ほとんどわかっていなかったため、シングルセルRNA シークエンスを立ち上げました。発生研としても初めての挑戦だったのでわからないことだらけでしたが、田中さんと谷川さんの尽力でとても質の良いデータが得られました。この膨大なデータをバイオインフォーマティクスを駆使して解析する必要があるわけですが、そんなことを全くやったことがない小林さんと三池さんがみるみるうちにマスターしてくれました。本人たちも驚いていましたが、こういったドライの研究に向いた才能を元々持っていたことになります。彼らが初心者の私でもわかるくらいにデータを処理してくれました。
これらを基にして、谷川さんがES細胞からの誘導に挑戦しました。間質前駆細胞の難しさは、それだけでは特徴的な形態をとらないことです。結局3つの前駆細胞を混ぜてみて腎臓の高次構造ができるかで判定するしかありません。しかも誘導した3つのうちどれかの調子が悪いと決してうまくいきません。谷川さんはひたすら誘導を繰り返し、田中さんや大森さん、井上さんと協力しながら誘導条件を最適化してくれました。そうしてようやくES細胞だけから構成される腎臓の高次構造が実現できたわけです。しかも谷川さんと大森さんはさらにマウスへの移植を繰り返して、どこまで成熟するかをシングルセルRNA シークエンスで調べたわけです(三池さんがここでも活躍)。
このように、今回の論文は5年かけて全員で成し遂げた力作です。関わった全ての皆様に深く感謝いたします。ちなみにこの論文は田中さんの学位論文にもなります。Nature Communicationsのeditorから、”Wow, what a great project to finish a PhD with!” というメールをもらったことは嬉しいエピソードです。
今後はヒトiPS細胞から間質前駆細胞を誘導します。あと2つの前駆細胞は既にできている(苦労話 Part 2&3参照)ので、3つ目を誘導してヒトで腎臓の高次構造を作ります。さらに尿管という尿の排出路を作れば、機能するヒト腎臓がすぐそこです。自分の結婚式の時に「新郎は腎臓を作ろうなどという冗談みたいなことを考えています」という祝辞をいただき、場内が笑いに包まれた時から長い年月がたちましたが、ここまで来ることができました。私がラボメンバーの結婚式で「新郎(新婦)は腎臓を作ろうとしています」と祝辞を述べても笑う人はもういません。みんなありがとう。もう一息です。

