2024年9月8日日曜日

浅島誠先生 傘寿の祝賀会 2024.9.7

 浅島誠先生の傘寿の祝賀会が東大駒場で開催されました。久しぶりに浅島先生や懐かしい面々と会えて楽しい時間を過ごしました。その会での祝辞です。

浅島先生、傘寿おめでとうございます。
私が先生と共同研究を始めたのは、1996年に大学院を卒業して東大医科研の助教になった直後なので、もう28年もお世話になっております。腎臓を作りたいと言って勝手に押しかけてアニマルキャップを集め、Sall1を見つけてKOマウスを作り、さらにヒト腎臓オルガノイドを作ってきました。私がここまでやってこれたのは浅島先生のおかげです。改めて深く感謝いたします。
私は浅島先生を発生学会の長嶋茂雄と密かに呼んでいます。なんと言っても明るく励ましてくれる。カエルどんどん使ってください としか言わず、細かい批判や指摘はしない。いい意味で大雑把。どんなデータにも本気で興奮してくれて、すぐに"Natureに出してみるだか"。自分がイマイチと思うデータでも先生にそう言ってもらうと、最終的な結果がどうあれ元気が出ますよね。
それに、多くの学生さんを送っていただきました。大学院を卒業したばかりで、かつ浅島研に所属もしていない私に優秀な学生をどんどん送ってくれる。後から振り返ると、私を支援してくれていたわけなのですが、そういったことは決しておっしゃらない。むしろ頭を下げて、 "もしもならば"指導してもらえないか、と頼んでくださる。お人柄ですよね。
「思ったより一人多く入学しちゃったので引き受けてもらえないか?」
「修士の入学試験に落ちてしまった学生がいる。来年は必ず受かるから、それまで教えてくれないか(気に入ったらそれ以降も)」
「マウスを勉強したがっているが、自分はカエルしか教えられないから是非西中村さんに頼みたい」
そうやって頼んでお願いする形を取りながら、私をサポートして下さったわけです。佐藤さん、長船さん、高里さんなど、今から思うとすごいメンバーでした。
それに当時の浅島研も若かった。福井さんが助教、有泉さんがいて、高橋君と横田さんが大学院生の最年長。その下に岡林さん、二宮さん、玉井さん、黒田さん、作本さん。魚地さんと早田さんはまだ修士でしたね。皆さん立派になられて素晴らしいです。
結局カエルを始めてから18年かけてヒト腎臓オルガノイド作成に成功したわけですが、そのときに浅島先生から電話をいただきました。”私はアクチビンを見つけるのに18年かかった。西中村さんも18年かけて腎臓が作れてよかったね。18年かかったのが良い”と言ってもらえました。浅島先生に少し近づけたような気がして、すごく嬉しかったです。
あれから既に10年が過ぎて、世の中のオルガノイド研究は物凄い勢いで進んでおり、長船さんも高里さんも頑張っています。私も、誰も見たことのない景色をさらに見つけていきたいと思っています。ほんの少しずつですが毎日細胞培養もしているし、たまにはマウスに注射も打ちます。
浅島先生もいつまでもお元気でご活躍ください。本日は誠におめでとうございます。